【重要文化財】聖神社本殿ほか2棟保存修理工事
(彩色工事)

建造物装飾

所在地: 大阪府
指定:重要文化財

和泉五社の一で、「信太(しのだ)の森」で知られる大阪府和泉市王子町に所在する聖(ひじり)神社。

平成29年6月より令和元年7月まで、重要文化財聖神社本殿ほか2棟保存修理工事における彩色工事を川面美術研究所が担当させていただきました。

 

聖神社本殿は、慶長9年(1604)に豊臣秀頼が片桐且元を普請奉行として再建したと言われています。

その価値については、櫻井敏雄・多田準二『大阪府神社本殿遺構集成』(財団法人法政大学出版局、1983年)において、「神社本殿建築意匠は、桃山時代にかけて大きく高揚され、特に秀吉没後の大阪府下に於ける神社本殿の造営修覆は活発で、幸いその作品は今に伝えられ、日本建築史上貴重な遺構群を形成している。聖神社本殿はその中でも最も貴重なもので、類例のない構成、彩色を伴った豪華絢爛たる装飾、規模の大きさ、などで特に注目される」と高く評されています。

 

昭和12年(1937)本社本殿解体修理の際に、外部彩色は復原的に塗り替えられ、内部及び宮殿(くうでん)の彩色は剥落止めをされました。

以来約30年ぶりとなる今回の彩色工事では、外部復原彩色を調査・記録の上塗り直し、内部及び宮殿の彩色を剥落止めによって保存しました。

末社の三神社本殿及び滝神社本殿も慶長9年建築で、重要文化財に指定されています。

両末社は昭和53年(1978)に外部彩色が復原されており、今回は正面部分に限定して塗り替えました。

浜床に蹴込板、浜縁に半高欄を設ける等、和泉地方の特色を見ることができます。

 

さらに令和元年11月より令和2年7月まで、大阪府指定文化財(建造物)聖神社末社平岡神社本殿保存修理工事においても、彩色工事を担当させていただきました。

聖神社様、公益財団法人文化財建造物保存技術協会様、谷上社寺工業株式会社様ほか工事関係各位にこの場を借りて御礼申し上げます。